S家の地下室

このページではYCCきっての知性派である仏M氏のマニアックな趣味・嗜好などを紹介していきます。


第1回寄稿(2009.7.13)

フリーソフトをよく使います。
PCでの作業中に,こんな機能があれば便利なのにと思って調べてみると,ほとんどの場合なんらかのソフトが見つかります。考えることはみんな同じなんだなぁと妙な安堵感につつまれ,世界の広さに感嘆し,世の中捨てたもんじゃないと明日への希望さえ抱いてしまします。
以下は,そんな風にして出会ったソフトです。すべてWindows系のものです。とりあえず3つ。順不同。お勧めソフトという趣旨ではないのでリンクは貼っていません。悪しからず。
 仏M氏

 

仏M氏の選ぶフリーソフトベスト3

第1位 「トンボちゃん」
コメント:しばらく音沙汰のなかった著者から急に原稿が届き,すぐにラフデザインを見せてくれと言われて困りました。
その世界の重鎮で,そういったものを作るにはそれなりの時間が必要なのだということを理解してもらえるような相手ではありません。DTPソフトを使うのは面倒なので,とりあえず使い慣れたWordで作りました。それなりのものはできたのですが,どうもピリッとしません。どうにも素人っぽくて,なんというか,説得力がないのです。いちおう私もプロですから,いろいろ考えた末,トンボでもつければ雰囲気が出るかなと思い,検索してみました。
「トンボちゃん」。いくつか定型サイズが用意されれて,版面サイズを指定すると,それっぽいトンボが出力されました。効果は絶大。トンボがあるだけで,ただのWordファイルがプロの仕事に見えてしまうから不思議です。 おかげで打ち合わせは無事済みました。
逆境に立たされたときにこそプロの真価が問われるということ,そしてトンボはプロ仕事の象徴であるということを学びました(本のほうは出版に至っていませんが)。

第2位 「SGSearch」
コメント:ハードディスクに溜まっていく一方の文書ファイル。実物の紙とは違って物理的に存在していないだけに,置き場がなくなるというところまで追い込まれることがなく,なかなか捨てることができません。仕事で使うファイルは会社のサーバーがご丁寧にバックアップを取ってくれていますので,PCがお釈迦になってもファイルはなくなりません。どうも自分で整理するしかなさそうです。もっともサーバーがお釈迦になる可能性もありますが,その場合はもっと別のことで困ることになるでしょう。
そんなわけで増える一方のファイルをどうやって整理するかが問題になります。
世の中には「○○整理法」というのが沢山存在していて,私もいくつか勉強してみました。
プロジェクトごとにフォルダをつくる。時系列でまとめる。ワークフローに沿って整理する。うーん,インテリジェンス。いちいち成程成程と感心し,これなら自分にもできそうだという気持ちに満たされます。はっきりいって何でもできそうな気分になります。
ところが,どうもそこから先に進めないのです。こうすればいい,それはわかっている。しかしできない。この理解と実践の間に横たわる溝はいったい何なのだろうか。
いろいろ原因を考えた末に辿り着いた結論は,本の著者たちが具体的にどんな仕事をしてるのか想像できない私には,説明されている事柄に一切リアリティーを感じられずにいるということでした。そうか,これは技術書というよりも宗教書なんだ。そんな風に考えれば,確信に満ちた言葉から発せられる独特のオーラも理解できます。読後に全能感を感じながら,実生活が何も変わらないという現象にも納得がいきます。よかった,よかった。全然よくないですね。最初の問題に戻りましょう。
要するに,ファイルの保存先を忘れてしまうので困るということです。さらにいうと保存先だけではなくてファイル名すら怪しいということです。様々な「○○整理法」に中途半端に手を出した結果,私のフォルダは時系列とプロジェクトとワークフローに分けられた無数のサブフォルダがぐちゃぐちゃに混ざり合っているという状況になっていました。しかも,テキストファイルで作ったのか,Word文書にしたのか,はたまたExcelなのかさえ思い出せない有様です。そんなときに限って「前略 先日いただいた企画書を添付ファイルで送信願います」などというふざけた依頼が届くわけです。しかも重鎮から。そこで,おぼろげな名前をもとに,ファイルの保存先を探してくれるソフトを探しました。「SGSearch」。ファイルの種類(txt,doc,xls)と,自分がファイル名として使用した可能性が極めて高いと思われる言葉(たとえば「△△企画」とか「20090304」など)を入力すると,サブフォルダも含めて検索してくれます。どんなに深いフォルダも辛抱強く探してくれます。祈るような気持ちで待っている私に,まったく予想もつかなかった場所から発見されたことを告げてくれます。
このソフトに出会って以降,フォルダを整理するということにほとんど意義を見出せなくなっています。
PCで作ったんだからPCで管理しろ。これは当然の要求です。 そこで,現在は「いつ,何を,どこに保存したかを全部覚えてくれるソフト」を探している最中です。知っている方はご一報ください。

第3位 「お忍びリネーム。」
コメント:人間,疲労が溜まると判断力や決断力が鈍ります。一度決めたことに自信がなくなったり,そもそも決めること自体ができなくなります。優柔不断というやつです。私の場合,些細なことに対処する場合にこの傾向が強くなるようです。
些細なことの代表ともいえるのがファイル名。別になんだっていいはずなのに,なんとなく工夫しておかないといけないのではないかという脅迫観念に囚われてしまうのです。「○○整理法」などに中途半端に首を突っ込んでしまったせいかもしれません。悪戦苦闘の末に文書の作成が終わり,いざ命名する段になると,何も浮かんでこない。ままよと適当な名前をつけてもどうにも気に入りません。根拠はないのですが「これじゃダメだ」という確信があるのです。だいぶ疲れています。
ということで,頻繁にファイル名を変更することになるわけですが,ここでまた問題が生じます。
あるファイルの名前を変更しようとして「F2」キーを押すと,拡張子まで選択(私は拡張子を見せる設定にしているので)されてしまうのです。変えたいのはファイル名だけなのに。まったく理不尽です。気づかないうちに自分は機械に従属させれられてしまっているのではないかという漠然とした不安に陥ります。これも疲れの影響です。過負荷的? カフカ的? これはなんとかしないといけないと思い続けていたわけですが,やっと見つけました。「お忍びリネーム。」。このソフトを常駐させて「F2」を押すと,名前の部分だけが選択された状態になります。慎ましく主人の指示を待つ執事といった具合です。これで思いのままに名前を変更することができます(入力は自分でやるので,主従関係はまったく発生していないんですが)。「F2」を2回押すと拡張子だけが選択され,さらに「F2」を押すと通常の拡張子を含んだすべてが選択されます。
名前のとおり地味なソフトで,「一度使うともう手放せませんっ!」といった類のものではないのですが,しっとりとした喜びを味わうことができます。
それだけではなく,所詮機械は道具であるという基本に立ち返り,人間性の回復を感じさせてくれるソフトです。「インストールもの」や「常駐もの」は品がないので私は嫌いなのですが,このソフトは例外です。迷うことなくスタートアップに放り込んでやりました。

(HP管理人ひとこと)
マニアックな仏M氏。この後、このページはどのように展開していくのでしょうか。注目です。